キリスト者共同体
通常のキリスト教会での聖餐式ないしミサに相当する「人間聖化式」という礼拝がキリスト者共同体の中心となっています。具体的にキリスト者共同体を知りたいと思われる場合には、まずこの儀式をご自分の目や耳をはじめすべての感覚をとおして、実際に体験するのが一番の近道といえるでしょう。
参加の条件と参加の仕方
人間聖化式は15歳以上の方であればどなたでも自由に見学したり参加したりできます。参加のための申し込み等は必要ありません。直接会場に来ていただければ結構です(場合に応じて10才以上の子供が見学することも可能ですが、その場合には事前に司祭までご相談ください)。挙式場所と時刻は「エマオス」や「行事案内」に掲載されている他、各問い合わせ先に直接電話していただいてもかまいません。参加される当日は、開始時刻より少し早めに会場に到着し、自由に席に座り、できるだけ落ち着いた気持ちで祭壇を眺めたり、司祭が読む言葉を聞いたり、式全体の雰囲気を感じていただければ幸いです。
人間聖化式では、祝祭ごとの色彩で飾られた祭壇の前で司祭が、聖書や決められた祈りの言葉を読み、特定の所作(たとえば杯にワイン(アルコールなしの葡萄果汁)を注いだり、香を炊いたりします)を行います。参加者は大部分の時間、静かに座って式の経過を見守ります。途中、聖書が朗読される場所で全員が立ち上がります。また途中、何度か十字を切ったり、歌を歌ったりする部分がありますが、最初に体験される場合には、必ずしも他の参加者と同じようにする義務はありません。もし可能ならば同じようにしてみてください。十字は、眉間、あご、胸の順に三度、小さく切ります。
人間聖化式の進行
式全体は45分から1時間程度の長さで、四部に分かれています。
第一部は「告知」と呼ばれる部分で、司祭が祈りの言葉を読んだ後でその週のために定められた福音書の部分(ペリコーペと呼ばれます)が朗読され、参加者全員が立って福音に耳を傾けます。日曜日などには、朗読に引き続き短いスピーチ(説教)が行われます。
第二部は「供犠」と呼ばれています。司祭の祈りの言葉とともに杯の中にワインと水が注がれ、さらに香が炊かれます。「供犠」における「犠牲」とは、心の内容を神に向けるという内面的な行為を意味しています。
第三部は「変容」とよばれ、捧げられたワインとパンとが目に見えない部分で、神であるキリストの力に浸透された聖なる物質(聖体)に変容する式です。
第四部は「コムニオン(聖体拝領)」と呼ばれ、第三部の変容の対象となったパンとワインとを希望する参列者が食べ、飲む部分です。コムニオンを通して参列者は地上界に働くキリストの神的本性と結びつきます。
コムニオン(パンとワインの拝領)について
キリスト者共同体では、コムニオンで聖体を受けるか受けないかは参加される方の自由にまかされています。成員でない方でも受けることができますし、また成員であっても受ける義務はありません。コムニオンは地上に住む私達が神的な力に触れることができるとても大事な場ですので、初めて式に参加される場合や、事前にコムニオンを受ける心の準備がない場合は、むしろ拝領をせずに、式全体の様子をご覧になることをおすすめします。
聖化式の体験について
人間聖化式の体験は参加される方一人一人様々です。あまりよくわからないという場合もあれば、何らかの良い印象をもたれる場合もあります。通常は、一度体験しただけではよくわからないことが多く、何度か繰り返して体験すると、少しずつ何が行われているのかがわかってきたり、心に訴えるものを感じたりされる場合が多いようです。それは人間聖化式が参列者に何かを強制する儀式ではなく、むしろ私たち一人一人の「神聖なる自由」によって「発見される」のを待っている儀式だからなのです。
聖化式への参列に関してご質問のある方は、どうぞ遠慮なく司祭までお問い合せください。
執筆:輿石祥三 監修:小林直生、輿石麗
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